終活で家族ができること|安心して準備を進めるためのポイント
- 一般社団法人くらしの解決研究所
- 6月23日
- 読了時間: 16分

▶︎1. 終活とは?家族ができることの重要性

1.1 終活の基本的な考え方と家族の役割
終活とは、自分の人生の最終段階を見据えて、準備や整理を進める活動のことです。誰にとっても避けられない人生の一部ですが、しっかり準備することで本人も家族も安心できます。特に家族は終活の過程で大きな役割を担います。
例えば、終活を始めることで「もしもの時に何をどうするか」を家族みんなで共有できます。これにより、遺産相続や葬儀の準備、介護の方針決定など、将来的に発生する問題を未然に防げます。
よくある失敗としては、
①終活の話題を後回しにしてしまう
②本人の希望を家族が知らないまま手続きを進める
③財産や重要書類の管理が曖昧で混乱する
これらはすべて家族間のコミュニケーション不足が原因です。解決策は、日常の会話の中で終活の話題を自然に取り入れ、早めに本人の希望や必要な情報を共有すること。忙しい日々の中でも、例えば食事の時間や散歩の途中など、少しの時間で話を進められます。
家族が積極的に関わることで、終活の準備がスムーズに進み、みんなが心の負担を減らせます。
1.2 家族ができる具体的なサポート内容
終活を進める上で、家族ができるサポートは多岐にわたります。親や配偶者が安心して準備できるよう、以下のポイントを押さえるとスムーズです。
たとえば、忙しい日常のなかでも少しずつ進めることで、無理なく終活をサポートできます。
主な家族のサポート内容はこちらです。
エンディングノートの作成支援
一緒にエンディングノートを書き進めることで、本人の希望を具体的に整理できます。遺言書とは異なり法的拘束力はありませんが、葬儀の方法や医療の希望などをまとめておくと役立ちます。
財産や資産の整理・管理
預金口座や保険、不動産の情報を整理し、誰がどの資産を管理するかを話し合うことが大事です。財産の所在を明確にすることで、相続時のトラブルを防げます。
医療・介護に関する希望確認
延命治療の有無や介護の希望について本人の考えを聞き取り、必要な書類の準備や手続きのサポートをします。本人の意思を尊重した対応が大切です。
重要書類の整理・保管場所の共有
遺言書や保険証書、権利証などの重要書類は、どこにあるかを家族全員で把握しておきましょう。緊急時にすぐ見つけられるよう、リスト化して共有することがおすすめです。
葬儀の希望確認と事前準備
葬儀の形式や場所、参加してほしい人などを話し合い、本人の希望を尊重した準備を進めます。急な場合でも慌てず対応できるよう、事前の話し合いはとても役立ちます。
たとえば、仕事が忙しい中でも週末に少しずつ書類整理や話し合いを進めるだけで、半年後には大きな安心感が生まれます。
家族が積極的にサポートすることで、本人の希望が明確になり、終活が円滑に進みます。
▶︎2. 親の終活をサポートするための準備

2.1 緊急時の連絡先リストの作成
親が元気なうちに、緊急時にすぐ連絡できる人や機関のリストを作成しておくことはとても大事です。いざという時、慌てず対応できるように準備しておくと家族全員が安心できます。
たとえば、急な体調不良や事故で本人が話せない場合、誰に連絡すればよいか分からず困ることがあります。そんな時に連絡先がまとまっていれば、迅速に対応できます。
主に以下の連絡先をリスト化しておくと便利です。
主治医やかかりつけ医院の連絡先
病気の状況や治療方針をすぐに確認できるので、救急搬送時にも役立ちます。
ケアマネージャーや介護サービス担当者の連絡先
介護が必要な場合にすぐに相談や手配ができます。
家族の連絡先(親族・兄弟など)
緊急時の連絡網として役立ちます。誰がどの順番で連絡を受けるかも決めておくとスムーズです。
近隣の信頼できる友人や隣人の連絡先
もし家族がすぐに駆けつけられない場合の助けとなります。
かかっている施設や行政窓口の連絡先
例えば地域包括支援センターなど、緊急時に支援を受けられる窓口です。
このリストは紙やスマホのメモ帳、またはエンディングノートに記載し、家族全員で共有しておくことが大事です。定期的に見直して、連絡先の変更がないか確認しましょう。
忙しい朝の時間帯でも、スマホで簡単に連絡先を確認できるだけで、緊急時の対応にかかる時間が半分以下になることもあります。
緊急時の連絡先リストは、家族みんなが安心して暮らせる終活の第一歩です。
2.2 医療・介護の希望を明確にする
医療や介護の希望を事前に確認し、家族で共有することは終活でとても大事です。急な状況でも本人の意思を尊重し、スムーズに対応できるように準備しましょう。
たとえば、忙しい日常のなかでも短い時間で話し合うことで、将来的なトラブルを防げます。
主なポイントはこちらです。
延命治療の希望確認
延命治療を受けるかどうか、本人の意思を具体的に聞き取ります。曖昧なままだと家族間で意見が分かれることが多いです。
介護の受け入れ先や方法の話し合い
自宅介護か施設介護か、どのようなケアが望ましいかを確認しておきます。本人の希望に沿った介護プランを立てやすくなります。
医療・介護に関する書面の作成
リビングウィルや意思表明書など、本人の希望を書面で残しておくと、家族や医療関係者も判断しやすくなります。
家族間の意思共有
医療・介護の希望を家族全員で共有し、共通認識を持つことがトラブル防止につながります。定期的に話し合う時間を作るのも効果的です。
専門家への相談
不安な点は医療ソーシャルワーカーやケアマネージャーに相談し、適切なアドバイスをもらうことも重要です。
たとえば、延命治療の希望を明確にしておくことで、実際に救急搬送された際に余計な判断を家族に押し付けずに済みます。
医療・介護の希望を家族でしっかり共有することが、安心して暮らすための大きな支えになります。
2.3 財産や資産の整理と共有
財産や資産の整理は終活で特に重要なポイントです。家族がスムーズに相続手続きを進められるよう、情報を整理し、共有しておくことが大切です。
こんな失敗がよくあります。
①財産の所在や内容が家族に伝わっていない
②複数の銀行口座や保険の管理がバラバラでわかりにくい
③遺言書や重要書類が見つからず、相続で揉める
これらを防ぐための具体策を紹介します。
預貯金や保険の一覧作成
口座番号や保険証券の控えなど、すべての資産を一覧表にまとめておくとわかりやすいです。
不動産の登記情報の確認
所有している土地や建物の登記簿謄本を取得し、内容を確認しておきましょう。
遺言書の作成・保管場所の明示
遺言書がある場合はその場所を家族に伝えておくことが必須です。ない場合は専門家に相談して作成を検討しましょう。
重要書類の整理と保管
重要書類は専用のファイルやケースにまとめ、保管場所を家族に知らせておくと安心です。
定期的な情報更新と共有
資産の変動や書類の追加があった場合は、定期的に一覧を更新し家族と共有します。
たとえば、口座情報や保険内容をまとめておくことで、相続手続きにかかる時間が半分以下になるケースもあります。
財産や資産の整理を家族で協力して進めることが、円満な終活のカギとなります。
▶︎3. デジタル終活とその重要性

3.1 デジタル遺品の整理
現代では、スマホやパソコンに多くの個人情報が保存されています。親が使っているデジタル機器の中身を整理し、必要な情報を家族で共有しておくことが大事です。
こんな失敗例があります。
①パスワードがわからずログインできない
②写真や重要なデータが削除されてしまった
③アカウントの管理がバラバラで後からトラブルに
対策としては、以下のポイントを押さえましょう。
パスワードのリスト化
主要なアカウントやデバイスのパスワードをまとめて記録しておくことが重要です。
データのバックアップ
写真や重要な書類などはクラウドや外付けハードディスクに保存し、紛失や消失を防ぎます。
不要なデータの整理
親と一緒に不要なファイルやアプリを整理し、重要なデータだけを残すと管理しやすくなります。
デジタル遺品の取り扱いについて家族で話し合う
どのデータを残し、どのデータを削除するかを話し合い、共有のルールを決めることも効果的です。
たとえば、急にスマホが使えなくなった時にパスワードがわかれば、家族が重要な連絡先や写真にアクセスできます。
デジタル遺品の整理は、これからの終活で欠かせない準備です。
3.2 SNSアカウントの管理
現代はSNSを利用する人が多く、アカウントの管理も終活で重要なポイントになっています。親のSNSアカウントの扱いを事前に決めておかないと、トラブルになることもあります。
よくある失敗は次のとおりです。
①アカウントのログイン情報がわからず管理できない
②故人のアカウントが放置され、誤解を招く投稿がされる
③削除や引き継ぎの方法を知らずに困る
対策として、以下の点を家族で確認しましょう。
アカウント情報の整理
IDやパスワード、メールアドレスなどのログイン情報をまとめておきます。
SNSごとの対応方法の確認
アカウントの削除や追悼アカウントへの切り替え方法を事前に調べておきましょう。
本人の希望を確認する
アカウントを残したいのか、削除したいのか、本人の意向をしっかり聞いておくことが大切です。
管理責任者の指定
家族の中でSNSアカウントを管理する人を決め、スムーズに対応できるようにします。
たとえば、親のアカウントを放置せずに適切に処理することで、故人への誤解やトラブルを避けられます。
SNSアカウントの管理は、家族が安心してデジタル終活を進めるための重要な準備です。
3.3 クラウドサービスの利用状況の確認
親が利用しているクラウドサービスの状況を確認し、必要な手続きを家族でサポートすることも終活の一環です。写真や書類が保存されていることも多く、アクセスできないと困ることがあります。
よくある失敗例は次の通りです。
①ログイン情報がわからずアクセスできない
②重要なデータが削除されたり見つからなかったりする
③契約の継続や解約手続きを知らずにトラブルになる
これらを防ぐため、以下のポイントを押さえましょう。
利用しているクラウドサービスの一覧作成
写真保存や文書管理、メールサービスなど、どのサービスを使っているか整理します。
ログイン情報の共有
IDやパスワード、二段階認証の状況などを記録し、信頼できる家族と共有しておきます。
データのバックアップ・整理
重要なデータは別の場所にも保存し、消失リスクを減らします。
契約内容の確認と手続き方法の把握
契約の更新や解約手続きが必要な場合、期限や方法を把握しておくとスムーズです。
たとえば、親が残した写真や重要書類に家族がすぐアクセスできれば、遺品整理や手続きがスムーズに進みます。
クラウドサービスの利用状況を整理しておくことは、デジタル終活での大きな安心につながります。
▶︎4. 終活を進めるためのコミュニケーション術
4.1 終活の話題を切り出すタイミング
終活の話はデリケートで、切り出し方やタイミングに悩むことが多いですよね。自然な流れで話せるタイミングを見つけることが大切です。
たとえば、こんな場面がおすすめです。
家族が集まる法事やお盆の時期
自然と「人生の終わり」について考えやすい雰囲気なので、話を始めやすいです。
健康診断や通院の際
医療に関する話題から介護や終活の話に広げることができます。
日常会話の中での軽い質問
「もし何かあったらどうしたい?」と軽く聞くことで、抵抗感なく話を促せます。
逆に避けたほうが良いタイミングもあります。
忙しくて気持ちに余裕がない時
ストレスがたまっていると話がうまく進みません。
感情的になっている時
喧嘩やトラブルの直後は避けましょう。
終活の話は一度で終わるものではなく、何度かに分けて少しずつ進めるのがコツです。家族みんなが自
然に話せる雰囲気を作ることが大事です。
4.2 話し合いの進め方と注意点
終活の話し合いは、繊細な内容が多いため進め方に工夫が必要です。家族が安心して話せる環境づくりと、相手の気持ちを尊重する姿勢が大切です。
よくある失敗例は次の通りです。 ①一方的に話を進めてしまい、相手が拒否感を持つ ②感情的になって議論がヒートアップする ③急に重い話題を投げかけ、戸惑わせる
これらを避けるために、以下のポイントを心がけましょう。
話す場所や時間を選ぶ
落ち着いて話せる静かな場所、余裕のある時間帯を選ぶと良いです。
相手の意見を尊重し、無理強いしない
強制せず、本人のペースで話を進めましょう。
質問はやわらかく、具体的に
「どんな葬儀がいい?」など具体的に聞くと答えやすくなります。
感謝や共感の言葉を伝える
「話してくれてありがとう」と気持ちを伝えることで安心感が生まれます。
話し合いを何度かに分ける
一回で終わらせようとせず、時間をかけて少しずつ進めるのが効果的です。
たとえば、夜のリビングでゆったりとした時間を共有しながら、軽い話題から終活の話へと自然につなげるとスムーズです。
話し合いの進め方次第で、家族の信頼関係も深まり、終活がより良く進みます。
4.3 家族間での情報共有の方法
終活は家族全員が同じ情報を持つことがとても大事です。情報がバラバラだと、いざという時に混乱が生じやすくなります。
よくある失敗は次の通りです。 ①重要な書類や希望が一部の家族だけにしか伝わっていない ②話し合いの内容が記録されておらず忘れてしまう ③情報の更新がされず、古いまま放置されている
これを防ぐため、以下のような方法がおすすめです。
終活ノートやエンディングノートを活用する
本人の希望や重要書類の場所、連絡先などを書きまとめ、家族全員で共有します。
家族間で定期的なミーティングを設ける
終活の進捗や新たな希望を確認し合う場を作ると、情報のズレが防げます。
クラウドサービスや共有フォルダの活用
デジタル化して情報を保管すれば、遠方の家族ともリアルタイムで共有可能です。
連絡役を決める
情報をまとめて管理する責任者を決めることで、情報漏れや混乱を防げます。
たとえば、月に一度家族で終活の話をする時間を作るだけで、知らないうちに進んでいた準備や変更点を全員が把握できます。
家族みんなが同じ情報を持つことが、終活をスムーズに進める最大のポイントです。
▶︎5. 終活を進めるための具体的なステップ
5.1 エンディングノートの作成
エンディングノートは、本人の希望や大切な情報をまとめるツールです。法的拘束力はありませんが、家族にとっては重要な指針となり、終活の中でも特に役立ちます。
よくある失敗例は次の通りです。
①書き始めるタイミングが遅れて準備不足になる
②内容があいまいで家族が迷う
③エンディングノートの存在を家族が知らない
これらを防ぐためには、以下のポイントを意識しましょう。
できるだけ早めに書き始める
健康なうちに少しずつ書くことで、焦らず充実した内容にできます。
具体的な内容を書く
葬儀の希望、財産の所在、医療の方針、連絡先など詳細に記すことが大事です。
家族と内容を共有する
ノートを書くだけでなく、家族と話し合いながら進めると誤解が生まれにくいです。
定期的に見直し・更新する
生活状況や考え方が変わったら、内容を見直して最新の状態に保ちます。
保管場所を決めて家族に知らせる
いざという時にすぐ見つかるよう、保管場所を共有しましょう。
たとえば、エンディングノートを書き始めて半年後には、葬儀の詳細や遺産の整理までほぼ終わらせることも可能です。
エンディングノートは、家族みんなの安心につながる終活の第一歩です。
5.2 財産や資産の整理
終活で避けて通れないのが財産や資産の整理です。家族が相続や手続きをスムーズに進められるよう、しっかり準備しておくことが大切です。
よくある失敗は次の通りです。
①財産の所在が分からず、相続手続きが遅れる
②複数の銀行口座や保険の情報がバラバラで管理しにくい
③遺言書や重要書類が見つからずトラブルになる
解決策としては以下のポイントを押さえましょう。
預貯金や保険の一覧表作成
口座番号や保険証券など、すべての財産をまとめて一覧にします。
不動産の登記簿謄本を確認
土地や建物の所有状況を明確にしておきましょう。
遺言書の有無と保管場所の共有
遺言書がある場合は場所を家族に伝え、ない場合は作成を検討します。
重要書類の整理と専用保管場所の確保
書類はファイルやケースにまとめ、誰でもすぐに見つけられるようにします。
定期的な情報更新と家族共有
財産内容の変動があれば一覧を更新し、家族で共有しましょう。
たとえば、一覧表を作るだけで、相続手続きにかかる時間が半分以下になることもあります。
財産の整理は家族の負担を減らし、円満な終活につながります。
5.3 医療・介護の希望の確認と手続き
医療や介護の希望を本人としっかり話し合い、必要な手続きを進めることは終活の重要なポイントです。これが曖昧だと、急な判断で家族が悩むことになります。
よくある失敗例は次の通りです。
①延命治療の希望が確認されていなかった
②介護の方法や場所について家族間で意見が食い違った
③意思表示が書面に残っておらず、医療機関が判断に困った
こうした問題を避けるには、以下の対策が有効です。
本人の意思を具体的に確認する
延命治療の有無、介護施設か自宅介護かなど、詳細に話し合います。
リビングウィルや意思表示書の作成
本人の希望を書面で残しておくことで、医療現場でも尊重されやすくなります。
必要な手続きの確認と準備
介護保険の申請や医療同意書など、各種手続きを早めに進めておくと安心です。
家族間での情報共有
希望内容を全員で共有し、共通認識を持つことがトラブル防止につながります。
専門家への相談
医療ソーシャルワーカーやケアマネージャーに相談し、適切なサポートを受けることもおすすめです。
たとえば、リビングウィルを準備しておくと、急病時に家族が迷わず対応でき、本人の尊厳が守られます。
医療・介護の希望確認と手続きは、家族みんなが安心して日々を過ごすための大切なステップです。
▶︎6. まとめ
終活は、自分や家族が安心して最後の時を迎えるための準備です。家族が主体的に関わることで、本人の希望が尊重され、トラブルを防げます。忙しい日常でも、少しずつ話し合いを進めることが大切です。
家族の役割としては、
本人の気持ちを聞き取る
必要な情報や書類を整理・共有する
医療や介護の希望を確認し、手続きをサポートする
これらをしっかり行うことで、終活がスムーズに進みます。
たとえば、親が元気なうちに終活の話を始めるだけで、家族全体の安心感が大きく変わります。 家族のサポートがあるからこそ、終活は安心して進められます。
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